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3/20(金)ニュース 動画配信で開拓、マイナー・アマチュア競技に千載一遇の好機

この記事の注目点はココ!

・中継車1台で容易にネット配信
・AIカメラで省人化・コスト削減
・無料アプリ、部活動を支援

マスメディアでは開拓が難しかったマイナースポーツやアマチュアスポーツ、ローカルスポーツなどの動画配信が注目されている。撮影や編集、配信のコストが下がり、垂れ流しでも事業として成り立つ見込みが出てきた。スタートアップや大手が参入して事業を立ち上げる。映像インフラが整うと、データを駆使して競技レベルを上げることも可能だ。選手強化や教育、コンテンツ配信を巻き込み、新しいビジネスモデルが広がろうとしている。(取材・小寺貴之)

■中継車1台で容易にネット配信/AIカメラで省人化・コスト削減
「東京五輪・パラリンピックでマイナーに甘んじていた競技が一気にファンを増やすかもしれない。選手の活躍に応えるためにも協会などの準備が大切になる」とrtv(大阪市中央区)の須沢壮太社長は指摘する。ワールドカップでラグビーが飛躍したように、日本代表の活躍でファンが急拡大する可能性がある。メダリストはメディアに連日取り上げられ、活躍をその目でみた隣人の感動が会員制交流サイト(SNS)を駆け巡る。この機を生かせなければ失態だ。表彰台の予想は難しいが、競技団体や関連企業は下準備を進めている。
rtvはアメフトや少年野球などの配信事業を手がけてきた。中継装置を商用バン「ハイエース」に収め、電源も屋根もない競技場から試合をネット配信する。実況解説やテロップ編集などを含めて1日70万円から。SNS向けのハイライト制作やデジタルマーケティングの支援もする。
野球やサッカーのようなメジャーな競技は学生や少年チームなどの地域の試合を、ホッケーやスポーツクライミングのようなマイナーに甘んじる競技は学生から社会人まで丸ごと配信を請け負える。須沢社長は「いずれグーグルのようなプラットフォーマーが中継や編集、課金インフラを整える。ニッチやローカルなスポーツメディアがひしめくようになる」と展望する。
映像制作コストを引き下げると期待されるのが人工知能(AI)技術だ。AIカメラはカメラの首振りやカメラの切り替えを自動化する。NTT西日本などはイスラエルのベンチャー、Pixellot製のAIカメラで動画配信事業を2020年春に本格展開する。
AIカメラは4台のカメラを画角を変えて縦に積み、合成して1枚の広角映像を作る。この広角映像でフィールド全体を撮り、AIでプレーを追いかけて放映部分を抜き出す。広角映像の画質は8Kと高いため、抜き出した後も十分な画質を確保できる。朝日放送グループホールディングスなどと実証実験を進めてきた。
NTT西日本の川崎豪己プロデューサーは「無人撮影でコストを抑えて配信する。一度導入されれば他社は入れない」と説明する。AIカメラは少し前までボールが見切れないように追跡するだけで精いっぱいだった。現在は見所でズームができるようになってきた。プロの演出には劣るものの、データを蓄えて日々演出を学習している。

こうした試合映像はデータの宝庫だ。Pixellotは戦術分析やコーチングへの利用を提案している。試合中にプレーや注意点などのタグを付け、ダイジェストを編集してロッカールームで戦術を伝える。rtvもスペインのスタートアップのAIカメラを導入した。須沢社長は「動画配信よりも競合チームや若い選手のスカウト用の映像分析に向く」と期待する。

■映像にメモ、直感的な指導・戦術
スポーツの映像分析はプロの手でなされてきた。プレーや反則を数えるなど、簡単なスタッツ(統計情報)はAIで作れるようになりつつあるが、スタッツの解釈やプレーの良しあしの判断はコーチ陣に依る。
富士通からスピンオフしたRUN.EDGE(ラン・エッジ、東京都渋谷区)は、映像に指南を書き込めるスポーツコミュニケーションプラットフォーム「FL―UX」を提案する。重たい映像データを扱うが、直感的に矢印やメモを書き込んで、遅れることなく再生できる。
この即時性が評価され、メジャーリーグやプロ野球の球団に技術が使われていた。野球に限らず、広くスポーツで使えるよう「FL―UX」を開発した。清水純平シニアマネージャーは「コーチがスマートフォン片手に練習を見ながら、グッドやバッドのボタンをポチポチ押す。それだけで指導用ダイジェストがまとめられ、その場で確認できる」と説明する。この手軽さは動画配信にも生きる。ファンや選手が試合のハイライトを制作したり、自分なりの戦術を論じたりと、映像編集と発信が可能だ。

RUN.EDGEのFL−UXの利用イメージ
「FL―UX」はタグの時刻や書き込みなどの付加情報をもつ。元の映像そのものは球団などのサーバーにあり、付加情報を重ねて流すだけだ。映像へのアクセスを権利者が管理できる。競技団体はマイナーな間はSNSなどで広く拡散されることを望み、メジャーになると版権をさかのぼれるだけ管理したいという矛盾したニーズがあった。

■無料アプリ、部活動を支援
NTTドコモは、より手軽な動画編集共有アプリ「MARKERS」を1月にリリースした。試合や練習などを複数のスマホで撮り、ダイジェストを制作できる。学生の部活動などでの利用を想定するため、編集機能はカメラの切り替えとタグ付けに絞り込んだ。タグの種類ごとに前後の動画を抜き出してダイジェストを作る。時刻同期は動画の撮影開始時刻で合わせる。
例えば、試合相手の要注意選手のタグを付けすると、要注意選手のプレーを振り返るダイジェストが作れる。弱点やくせを探す用途では十分だ。ダンスでは動きがそろっているか何度も確認する。タグで頭出しができると便利だ。都内の私大女子バレー部では練習の振り返り、ラグビー部ではOB向けに試合のダイジェストを制作し、身内に配信している。川上太郎企画開発担当課長は「カメラに比べズーム機能は劣るがスマホで十分な用途は多い。まずは無料でアプリを提供し、機能や容量などの課金方法を探っていく」と説明する。グループ内でのライブ配信も可能だ。
編集や配信の規模に応じて、安価に撮影配信する仕組みが整いつつある。AIカメラが設置されれば、映像そのものは動画配信やスポーツ分析など広く応用できる。スマホだけでの編集配信も可能になっている。競技団体や選手がうまく使いこなせば、五輪のレガシーは何倍にもなる。

引用:動画配信で開拓、マイナー・アマチュア競技に千載一遇の好機

気軽に映像を利用する事ができれば、特に部活動において指導者の質を問わずに競技力の改善・向上が期待されます。また、新たな広告媒体となりえるかという点においても注目です。

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