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4/8(水)ニュース 「ポスト新型コロナ」×「5G」で広がる中国の新ビジネス

この記事の注目点はココ!

・チャイナモバイル、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)の通信大手3社は、5G関連投資の加速を表明
・4G環境の下で生まれた新たなサービスによって多くの社会問題が解決された

第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが、2019年11月から中国の50都市でスタートした。中国政府は当初、2020年に商用化する目標を掲げていたが、これを前倒しさせ普及の促進を加速させてのスタートだった。
首都北京でも基地局の整備が進められており、5Gサービスエリアは徐々に広がっている。とはいえ、私も利用している中国通信キャリア最大手の中国移動通信(チャイナモバイル)の現在の状況を見てみると、北京の中心部では利用可能エリアは広がっているが、依然としてまだら模様だ。郊外はほとんど使えない。
サービス開始から数カ月しか経過しておらず、ユーザーは依然として様子見ムードのようだ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、スマートフォンの販売が落ち込んでいることも影響しているのだろう。実際に、私の周りで5Gサービスを利用している中国人はほとんど存在しない。私が勤務する対外経済貿易大学の在校生・卒業生にも利用状況を聞いてみたが、5G利用者は一人もいなかった。
その理由として最も多く聞かれた声が、「スマホの価格が高すぎる」であった。
現時点で販売されている5G対応スマホは、華為技術(ファーウェイ)やサムスンなど大手メーカーの上位機種が主流となっている。チャイナモバイルのネット販売では様々なメーカーの5G対応機種を取り扱っているが、メインとなる価格帯は3000~4000元(約45000~60000円)と、現行の4Gモデルの1000~2000元(約15000~30000円)よりかなり高めだ。

新型コロナによる景気下振れに5G投資で対応
しかし、5Gの普及期が今年訪れようとしている。
各スマホメーカーも低価格機種の販売開始を予定しており、5G対応スマホへの機種変更ブームが起こりそうだ。例えば、小米(シャオミ)創業者の雷軍董事長は、20年中に10機種を発売し様々な価格帯をカバーすることを明らかにした。実際に、同社が発売している5G対応スマホの最安機種は2000元を切り、4Gのボリュームゾーンに近づいてきている。
また、もう1つ懸念される5Gサービスエリア問題も、新型コロナウイルスの感染への対応が契機となり、今年急速に広がる可能性がでてきた。
20年は中国にとって「所得倍増計画」の達成がかかった重要な年である。だが、新型コロナの影響で経済成長に急激な下方圧力がかかっている。国家統計局が公表した20年1~2月の主な経済統計を見ると、固定資産投資が24.5%減、社会消費品小売総額が20.5%減、工業生産が13.5%減と軒並みマイナス成長となった。
落ち込んだ経済を立て直すため、年後半にかけて大規模な経済対策が打ち出されると予想される。蒸発したサービス消費分を補うためにも、巨額のインフラ投資が実施されるだろう。
新型コロナの中国マクロ経済に与える影響や「所得倍増計画」に関しては、『共産党結党100周年を前に、新型肺炎で試される中国経済』を参照。
その投資先の1つが、危機対処の一助となったインターネット分野である。中国メディアによると、中国共産党は3月4日に開催した政治局常務委員会において、5Gネットワークを含む7分野の「新型インフラ」の整備加速が示された。
それに呼応する形で、チャイナモバイル、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)の通信大手3社は、5G関連投資の加速を表明した。各社が公表した報告書によると、20年における3社合計の5G関連投資計画額は、19年比で約4.4倍となる1803億元(約2.7兆円)に達する見通しだ。
19年12月に開催された全国工業情報化工作会議では、20年末までに全国の「地級市(総数293市)」で5G基地局の整備を目指しているとしていたが、これよりも速いスピードで進むと予想される。

4G普及の歴史に学ぶ
4Gサービスの普及過程を振り返ってみてもわかるが、実際に本格的にユーザーが拡大するためには、比較的価格の低い普及版の登場、利用可能エリアの拡大および新たなサービスの広がりが欠かせない。
中国で4Gの商用サービスが正式にスタートしたのが2013年12月。翌14年にOPPOやvivoといった新興スマホメーカー各社から比較的安価な4G対応機種が発売され始め、基地局の敷設が進むと利用者は急速に増加した。
チャイナモバイルのデータを見ると、14年2月に134万人だった4Gユーザーは、わずか1年で1億人を、2年弱で3億人を超えるスピードで急増した。一方、3Gユーザーは14年10月から減少に転じている。
4Gの運用開始によるモバイル通信回線の高速化で、「新経済」エコシステムの核となるモバイル決済やそれから派生した様々なオンラインサービスが実現した。スマホを使って実店舗でストレスなく決済できるのも、バスの中で動画を視聴したりオンラインゲームを楽しんだりできるのも、歩きながらテレビ電話で会話ができるのも、地図アプリで目的地を探すのも、すべて高速モバイル通信によるものだ。
5Gには、通信速度が現行規格の約100倍という「高速大容量」に加え、「超低遅延」「多数端末同時接続」といった特長があり、様々な分野での活用が期待される。
それでは中国ではいったいどのようなビジネスやサービスが新たに誕生するのだろうか。中国における過去数年のデジタル経済の急速発展に鑑みると、庶民が「不便」「不安」と感じているミクロレベルでの「社会問題の解決」がヒントとなるのではないかと想像する。

医療、教育、環境……山積する「社会問題」にヒントあり
猛スピードで発展してきた中国社会には、先進国に住む日本人には想像もつかないような問題が山積している。だから中国政府としては、新しいビジネス・サービスを通じて、政府の力だけでは難しかった社会問題が解決することを期待しているのだ。一般市民が「不便」「不安」と感じる問題の解決はビジネスチャンスとなりうる。市民にとっても、これまで不便だった問題が解消するのは大歓迎だ。まさに、「国家」「企業」「市民」にとって「三方よし」の発展モデルと言えよう。
4G環境の下で生まれた新たなサービスによって多くの社会問題が解決された。例えば、配車・ライドシェアサービスの普及により、北京などの都市部で雨やピーク時に発生していた「タクシー難民問題」が解消され、犯罪の温床となっていた「白タク」が激減した。以前は実店舗を持たないデリバリー専門の違法業者が横行していたが、宅配サービスの普及によりこれも激減した。シェア自転車により駅前にはびこっていた「違法輪タク」も見なくなった。このような例は枚挙にいとまがない。
それでは5Gの普及によってどのような社会問題が解決に向かうのだろうか。
今回の新型コロナ対応で5Gが活躍したのが遠隔医療だ。5Gネットワークを利用したことで、短期間で仮設病院に高速インターネット環境をつくり上げた。中国には、都市部と農村部の「医療格差問題」がある。農村部を含む中国全土に有線の高速ネット回線を張り巡らせるのではなく、比較的手軽に敷設できる5G基地局を利用することで、全国規模での遠隔医療が可能となり、農村部における医療環境の改善が期待される。
いま現在、実際に行われている実証実験を見ると、ドローンやロボットを活用した配送システムの実現により「労働力不足問題」が解消されるかもしれない。自動運転の実用化が進むと、「交通マナー問題」や「渋滞問題」が緩和される未来が想像できよう。
この他にも、高齢化に伴う「医療・介護問題」、飲料水や食品などの「衛生問題」、生活習慣病や肥満などに代表される「健康問題」、大気汚染や水質汚染などの「環境問題」、貧困地域や農民工子女の「教育問題」など、中国には解決が望まれる社会問題が山積している。
「ポスト新型コロナ」時代には、ネット関連投資が今まで以上に積極的に行われるだろう。また、過去の経験に鑑みると、企業の参入、投資を促すためにも、比較的緩い規制政策がとられると考えられる。
通信環境の劇的な変化はエコシステム基盤の変化に他ならない。今後は、今までとはさらに異なるビジネス、サービスが生まれ、新たなエコシステムを形成していくに違いない。そして、これら中国社会に存在する多くの問題も早晩解決へと向かっていくだろう。

引用:「ポスト新型コロナ」×「5G」で広がる中国の新ビジネス
急速な発展を続ける中国では、4Gの普及に伴って社会問題が解決に向かっていった例もあったということから今回5Gが普及した際には、またどのような発展を遂げていくのか注目したい。

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