2022年7月におきた安倍晋三元首相銃撃事件を受けて、全国の警察が要人警護のためのサイバーパトロールを始めたことが、警察当局への取材によりわかりました。
SNSへの書き込みなどから、襲撃の予兆となり得る情報を収集・分析し、実際の警護に生かすのが狙いです。
1月8日で事件発生から半年となります。
今年度は4月に統一地方選、5月には広島市で先進7か国首脳会議(G7サミット)があり、いっそうの警護体制の強化が進められています。
警察当局によると、サイバーパトロールは従来も行われていましたが、目的は違法薬物の売買や児童ポルノなどの摘発で、要人の安全に特化した情報収集ではありませんでした。
これまでの要人警護は、過激派や右翼団体など特定組織の情報を入手するなど、未然に防ぐ手法を取ってきました。
ところが近年では、過激化した組織に属さない人物が「ローン・オフェンダー(単独の攻撃者)」となるケースが増えています。
安倍氏の事件で逮捕され、殺人容疑で送検、鑑定留置中の山上徹也容疑者(42)も、その1人で単独で武器製造を行っていたとされます。
また、事件前に予兆とみられる投稿が行われるケースも少なくありません。
2019年の京都アニメーション放火殺人事件では、ネット掲示板に「爆発物もって京アニ突っ込む」などの書き込みがありました。
山上容疑者も「安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」などとツイッターにつづっていました。
こうしたことから安倍氏の事件後、警察庁は全国警察に、要人の安全に関わるネット上の情報収集を指示しました。
例えば警視庁は要人への不満をしつこく書き込んだり、つきまとったりしている人物の有無を、従来のサイバーパトロール用のシステムを使って調べているということです。
収集された情報は警察庁に報告され、危険度を分析された上、必要に応じ警護員の増員などの指示が行われます。
課題は、単なる不満やいたずらもある中で危険度をどうやって見極めるかにあり、今後はAI(人工知能)を用いた情報収集なども検討されます。
ネット利用者への配慮のため、必要以上の情報収集は行わないよう警察庁は指導しているといいます。
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