総務省消防庁は、災害時などの被害状況を早期把握するため、全国の消防団に、本格的にドローン(無人機)を導入する方針を固めました。
ドローン配備のための補助金が交付されるほか、来年度からは各地で操縦方法などの講習会が開催されます。
ドローンは、遠隔操縦で上空から撮影できるので、災害時に被害状況の確認などを安全に行うことが可能です。
ヘリコプターより小回りがきく利点は、山岳遭難などの捜索活動で役立ちます。
市町村が、消防団に機材を配備する際に交付する「消防団設備整備費補助金」の対象は、発電機やトランシーバーなどですが、総務省消防庁では、今年度からドローンを加え、配備を促しています。
また同庁では、約400人が講習を受講すると想定し、2023年度予算の概算要求に4000万円の関連費用を計上しました。
各都道府県の消防学校で行われる消防団員向けの講習では、基本的な操縦方法のほか、撮影映像を基にした対応の仕方などの訓練も行われます。
今年4月時点の総務省消防庁のデータによると、消防本部では、全国724本部のうち、429本部(全体の59.2%)に計581機のドローンが配備されています。
ところが消防団では、全国2198団のうち、ドローンが配備されている団は、昨年12月時点で40団(同1.8%)で、計60機しかありません。
一方、消防団が「ドローン隊」を組織している静岡県焼津市のような自治体もあります。
年々、減少傾向にある消防団員数ですが、全国では約80万4800人になります。
地域に根差した消防団の活動に、ドローンを投入すれば、いち早く被害現場の状況を把握できるかもしれません。
特に、山間部や過疎地域などの、消防隊が現場到着するまでに時間がかかる地域では、効果が期待されます。
ドローンの災害現場での活用は進んでいます。
昨年7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害では、県からの依頼により、発生当日からドローンで現場を撮影し、被害状況の確認や行方不明者の捜索活動に役立てました。
今年8月の東北地方などの豪雨災害でも、山形、青森両県内の河川や道路の被害状況確認に用いられたそうです。
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